通関士試験の合格率から見た難易度について(2020年度)

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通関士試験の「難易度」について2020年度の試験結果をもとに考察してみました。

目次

科目免除と合格率の関係
まとめ

科目免除と合格率の関係

まずは、今年度の合格率とその内訳について以下の表をご覧ください。

引用元:税関ホームページ「第54回通関士試験の結果について」

この表を分かり易く説明してみます。

まずは、最上段の赤色の丸で囲んだ14.4%という数字は全科目受験者の合格率です。

全科目受験者とは、文字通り「通関実務」「関税法等」「通関業法」の3科目全てを受験された方のことを指します。

次に、緑色の丸で囲んだ20.7%という数字は、2科目受験者の合格率です。

2科目受験者とは、科目免除により「通関実務」が免除され

「関税法等」と「通関業法」の2科目だけを受験された方のことを指します。

そして、青色の丸で囲んだ75.4%という数字は、1科目受験者の合格率です。

1科目受験者とは、科目免除により「通関実務」と「関税法等」が免除され

「通関業法」のみを受験された方のことを指します。

以上のことから、黄色の丸で囲んだ16.9%という全体の合格率は、科目免除により「通関実務」や「関税法等」などの最も難しい科目を免除されて受験した方を含めた数字となります。

この黄色の丸で囲んだ16.9%という全体の合格率を基に、通関士試験の難易度について語ることは難しいような気がします。

それは、後述する科目免除が絡んでくるからです。

結局のところ、

赤色の丸で囲んだ14.4%」

これが通関士試験の真の難易度と言っても良いと思います

引用元:税関ホームページ「第54回通関士試験の結果について」

上述の通り、赤色の丸で囲んだ14.4%の数字は、全科目受験者の合格率です。

さて、ここで着目すべき数字としては、赤色の丸で囲んだ14.4%と緑色の丸で囲んだ20.7%です。

これは、全科目受験者「通関実務」が免除された2科目受験者の合格率の差異です。

あまり差異はないように感じますか?

実際、前年度の数字を見てみると両者とも12.5%であり「通関実務」が免除されているかどうかは関係がないように見えます。

そこで、そのデータをもとにして「通関実務」が合否を分ける科目であると判断せず、

「関税法等」が最難関科目であると判断すると大きな落とし穴に陥ることになります。

確かに「関税法等」は難しい科目です。

法令をきっちりと読み込んで理解しておく必要があり、

特有のひっかけも多くちりばめられています。

そして覚えなければならないことに関しては最もボリュームがある科目と言えます。

しかし、単純に覚えるという勉強時間を作ることは比較的容易なことなのです。

これは、対策に割く時間を捻出し易いということを言っているのであって、「関税法等」が簡単な科目だと言っているのではありません。

「関税法等」と「通関実務」の対策は性質が異なります。

詳しくは別記事に書いていますが、
簡単に言うと、歴史と数学との違いです。

このことを意識せずに初めからテキストを読み進めながら勉強に取り掛かると痛い目に合う確率が高いでしょう。

これは、仕事や家事、育児に追われる社会人にとっては特に重要なことになってきます。

最難関科目は「通関実務」であるということを認識することが、通関士試験合格においての鍵となります。

このことについて詳しくは、以下の記事をお読みください。

では、なぜ最難関科目である「通関実務」を免除されているにもかかわらず、合格率にほとんど差異がないのか?

それは、科目免除と人間の特性について考えてみる必要があると思います。

もしあなたが、『5年間通関に関わる仕事をしていれば、最難関科目である「通関実務」を免除する』と言われれば、どうしますか?

日々忙しい業務や家事・育児に忙殺される中で、そんなことを言われたらどう思われますか?

『15年間通関に関わる仕事をしていれば上述の「関税法等」も免除する』と言われれば、どうしますか?

通関士試験に合格していなくても、通関業務に携わることは可能です。

通関士試験に合格していなくても通関業務を卒なくこなすプロもたくさんいます。

不必要な勉強に時間を割く必要がないと判断して実務一筋に生きていくという道もひとつの選択肢であると考えますか?

初めから科目免除を念頭に置いて合格を目指すことには何の問題もありません。

激務に追われながら、通関士試験もがんばってバーンアウトして辞職されるぐらいなら科目免除を念頭に置いて実務に専念し、定着してくれれば良いと考えている企業もあるかと思います。

しかし、そんな科目免除がいつまでも存在するとは限りません。

あらゆる制度や法令はその時々の状況に応じて変化していくものです。

転職や就職を控えて受験される方には科目免除は関係のないことかもしれませんが、ご興味のある方は以下の考察記事をご覧ください。

まとめ

結局、試験結果について分析して言えることは、以下のようなことです。

合格率だけを見ると「関税法等」が最も難易度が高い科目のように見えるかもしれません。

しかし、通関士試験で攻略が難しく難易度が最も高い科目は「通関実務」です。

そのため、「通関実務」の対策時間をいかに捻出できるかが非常に重要となります。

受験すると決めたならば、いち早く「通関実務」の問題に取り組むことが重要です。

そして、科目免除については以下のようなことが言えるでしょう。

まず、科目免除など当てにしていつまでも合格できずにいると、時間と経費を無駄にするばかりか、法令順守が重視される中で信用を失う可能性もあります。

さらに、そのうち科目免除という制度がなくなって、結局は試験勉強に励まなければならない時が来るかもしれません。

したがって、科目免除のことは頭の外に追いやって、いち早く通関士試験に合格できるように勉強に集中すべきだと思います。

全科目(3科目)受験で合格することは合格率から見ても明らかなように、決して容易であるとは言えません。

しかし、もし合格できれば周囲の方々(同僚・上司・税関職員)は、あなたの情報分析能力・情報処理能力が高いと評価してくれるはずです。

この辺のことを念頭に置いて勉強に取り組んでいきましょう。

合格していれば、メリットもたくさんあるということを意識して、短期間で集中して取り組むようにしましょう。

ちなみに独学で一発合格するためには、

セオリーを知り、自分に合った勉強方法で臨むことが最も重要です。

セオリーをきちんと踏まえて、独学で短期一発合格できるための学習をスタートするに当たって、以下の記事が参考になればと思います。

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名前:スギモト 通関士試験(平成18年度)を6か月の勉強期間を経て短期合格しました。 通関士試験に短期で合格するための情報を集めてみました。 通関士試験合格を目指す方のお役に立てれば幸いです。