通関士試験は、日本で唯一の貿易系の国家試験です。
貿易と言うと、英語でのやり取りを連想される方もいるのではないでしょうか?
この資格試験に英語力は必要なのか、通関士試験の問題を見ながら考察してみました。
目次
1.必要とされる英語力
2.問題を解いてみると分かること
3.貿易の専門用語
4.英語や法律よりも重要なこと
5.解き方のコツ
1.必要とされる英語力
結論から言うと、中学レベルの英語力で十分です。
英語アレルギーのある方でも全く問題のないレベルだと思います。
どちらかと言うと、覚えておくべきなのは、貿易実務で使われる英単語や専門用語です。
これらに関しては、誰もが一から覚えなければならないものがほとんどですが、ボリューム的には、非常に少ないと言えます。
ですから、まったく「英語力」に関しては心配する必要はないと思います。
英語アレルギーで「and」や「or」、「of」、「other」などの英単語を見ただけで気分が悪くなったという方も、
問題集で、英語だけで書かれた「INVOICE」という文書を発見してしまったという方も、
問題を実際に解いてみると、英語力が必要ではない理由が見えてきます。
2.問題を解いてみると分かること
問題を解いてみると「INVOICE」という英語だけで書かれた書類が出てきます。
実はこの「INVOICE」ですが、
「難解だと感じる英単語」については、たいてい日本語訳を見つけることができます。
「INVOICE」に続いて「統計品目表」というものが添付されています。
この「統計品目表」をよく見れば、『難解な「品名」に関する日本語訳』は必ず見つかるようになっています。
要は、「INVOICE」の中に出てくる解答に必要な英単語は、「統計品目表」を見れば、ほとんどは日本語訳付きで記載されているということです。
しかし、「統計品目表」と照らしあわせながら「INVOICE」を見ても、まだ何を書いているか分からないという場合があると思います。
おそらくその原因は、
「英語」ではなく、ただの「専門用語」です。
英語ができないから読めないのではなく、意味不明な専門用語だから理解できないだけなのです。
「医療ドラマの中で出てくる会話」を聞いたことがある方は分かるはずです。
予備知識なしでは、何を言っているかさっぱり分かりません。
それと同じことがここでも起こっているだけです。
3.貿易の専門用語
さて、「INVOICEに出てくる専門用語」を知っていれば、通関実務の問題に取り組み易くなることは確実です。
しかし、貿易の専門用語を覚えてから解こうとして時間をかけるといった「完璧主義」を貫こうとすると、多大な時間を要します。
なかなか問題に取り組めず、いつまでたっても合格レベルに到達できないという結果になるかもしれません。
英語の試験を受験するのに、英語の辞書を全て丸暗記している人はいないと思います。
それと同じです。
「INVOICE」に出てくる専門用語も問題に絡まないものもあります。
わざわざ「貿易実務」について一から詳しく学ぶ必要はありません。
冒頭でも述べましたが、試験に出る専門用語のボリュームはさほど大きくありません。
4.英語や法律よりも重要なこと
FOBやCIFといった絶対に知っておくべき貿易用語はあります。
しかし、最短合格を目指す上では、一刻も早く「通関実務」の問題にとりかかることが重要となってきます。
この「通関実務」という最難関科目が攻略できなければ、通関士試験には合格できません。
「通関実務」は試験勉強としては、INVOICEなどの複数の書類を見つつ、メモを取り、計算をする必要があります。
これは、机に座って、ペンや電卓を使って勉強できる環境が必要になってくると言うことです。
これは、隙間時間を利用するのが一番難しい科目だということを意味します。
電車の中でなら、スマホ(電卓アプリやネット)を駆使して勉強することは可能かもしれませんが、車通勤などをしている方は通勤時間の利用はできません。
トイレやお風呂でも暗記物(「通関業法」と「関税法等」)に比べるとやりにくいと言えます。
「通関実務」の問題を解いてみると分かると思いますが、英単語や法律についての知識はなくても解けます。
「解けない」と思っているのは、貿易に関する専門用語と問題に慣れていないからです。
5.解き方のコツ
ジグソーパズルの解き方を知らなくても、絵柄がはっきりしている物に関しては、適当にやっても出来上がってしまうのと一緒で、知識などなくても出来ます。
テキストの一番初めに載っているような「標準的な問題」にざっと目を通して、解説を読みながら、パズル感覚で解いてみてください。
「パズル感覚」で見ると、予備知識なしでも解ける気がしませんか?
もしかすると専門用語への理解が乏しくても推理することで解けてしまうかもしれません。
通関実務の問題は、
ジグソーパズルに例えると、
「ピース数が多い、ルノワールのような抽象画を短時間で6割完成させなさい」
といった代物ですので、解き方のコツは知っておく必要があります。
(↑これほどの難易度ではありませんが、慣れていないと6割は厳しいでしょう)
きちんとした教材を選択していれば、コツも身についていくと思います。
しかし、誤った教材を選択していた場合は、試験時間内に6割の合格ラインに到達できないかもしれません。
ジグソーパズルにもきちんとした攻略法があります。
通関士試験も同じです。
どちらも共通して言えることは、実際に取り組んで慣れていくしかないということです。
ただし、専門用語に関しては、正しい範囲内で知識をつける必要があります。
特に初めて貿易の専門用語に触れるという方は次の記事をご覧ください