通関士試験で独学短期一発合格するための記憶を定着させる勉強方法

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暗記ものが多い通関士試験ですが、

記憶を定着させることに着目して記事を書いてみました。

記憶を定着させる上で、反復的に復習を行うことは重要です。

復習のタイミングや負担軽減方法についても書いています。

目次

1.エビングハウスの忘却曲線
2.ウォータールー大学の研究
3.ぬり絵勉強法の考察
4.倍速録音学習

1.エビングハウスの忘却曲線

エビングハウスの忘却曲線をご存知ですか?

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エビングハウスの忘却曲線

ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスの研究は有名です。

出典:ウィキペディア・エビングハウスの忘却曲線

ウィキペディアを読んでも非常に分かりにくいことが書いてあります。

ただ、よく読んでみると、この研究は法律用語が入り混じった通関士試験勉強にぴったりな内容の実験をしていることが分かります。

(法律が得意で、通関士試験の内容もおもしろいと感じている方にとっては無関係です)

エビングハウスは、自ら「子音・母音・子音」から成り立つ無意味な音節(rit、pek、tas、など)を記憶し、時間と共にどれだけ忘れるか、また覚え直すのにどれぐらいの時間(負担)がかかるかを実験したそうです。「成人被後見人・保税蔵置場・NACCS」などを覚えるのも良く似た実験に感じるのは私だけでしょうか?

具体的には、

「rit、pek、tas」などの無意味な音節を覚えたとして、

20分後にもう一度覚え直すのにかかる時間について調べたのです。

20分後にもう一度覚え直すのにかかる時間は最初に覚える時間よりも少なくなります。

これを節約率と言う言葉で表現しています。

20分後にもう一度覚え直す際の節約率は58%となります。

これは、もう一度覚え直すのにかかる負担が42%と言い換えることも出来ます。

仮に最初は10分の時間(負担)をかけて覚えたものが、

20分後にもう一度覚え直すと、

負担が少なくなって、4分程度で覚え直せるということを意味します。

1時間後の場合は、節約率が44%と低くなるので、負担が58%かかるようになり、覚え直すのに6分程度かかるという結果になります。

1日後の場合は、節約率が33%とさらに低くなるので、負担が67%かかるようになり、覚え直すのに7分程度かかるようになります。

1週間後の場合は節約率が23%まで低下し、

1ヵ月後の場合では節約率が21%にまで低下するので、

最初に覚えてから1週間以上経過すると、覚え直すのに8分程度かかるということになります。

つまり、

1週間以上経過してしまうと、最初に覚えたのと同程度の負担をかけて覚え直さないといけないということを実証しているのです。

要は1週間経てば、ほとんど忘れてしまっている上に、

ほとんど一から覚え直さないといけなくなるということですね。

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すとんと下がった赤色のカーブを見れば分かりますが、

「無意味な音節」は一瞬にして忘れてしまうということを表わしているのです。

ただ、人間の脳は優秀なようです。

無意味な音節でも1度覚えようと努力すると、2回目にはなんとなく覚えているので、最初よりも短い時間で覚えてしまえるようになるということですね。

それが例え「保税蔵置場、成年被後見人、NACCS」だったとしてもです。

こんな意味不明の言葉はすぐに忘れてしまうのは間違いないのですが、

できるだけ早い時期に再び覚えようとすると、

短時間(低負荷)で覚えられるということを実証しています。

つまり、この曲線が意味することは、復習をするには早いほど時間(負担)がかからずに済むということであり、

20分以内に復習をすると半分の時間(負担)で済むので、

復習も込みの勉強を毎日していったほうがいいということです。

短時間でも復習を織り込んでいけば、負担が少ない勉強を継続できるということです。

そんなことをしていたら、いつまでたっても前に進まないじゃないかと思いますか?

そんなことはないと思います。

例えば、

①通関業法の「通関士」について15分集中的に問題を解いた後で、

②関税法等の「保税蔵置場」について15分集中的に問題を解きます。

その後、

①通関業法の「通関士」について15分集中的に復習のために問題を解くと、

節約率の関係で、時間的な余裕ができてくるはずです。

そこで、

②関税法等の「保税蔵置場」について15分集中的に復習のために問題を解くと、 節約率の関係で、またもや時間的な余裕ができてくるはずです。

要は短時間で負担なく復習して覚えられるということになります。

余裕ができて、余ってくる時間を使って次の項目に取り掛かれば、どんどん先に進めていけます。

ただし、

これだけでは記憶を完全に定着させるには不十分かもしれません。

では、次はいつ復習すれば記憶が確実に定着するのかというと、

その点についても研究があるのです。

カナダのウォータールー大学の研究です。

2.ウォータールー大学の研究

以下のグラフはカナダのウォータールー大学の研究によるものです。

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出典:”Curve of Forgetting” University of Waterloo
https://uwaterloo.ca/campus-wellness/curve-forgetting

要は、勉強した24時間後に復習をして、定期的に短時間の復習をしていけば、黄色の曲線が示すように、記憶率を維持し続けられるということです。

以下の説明はややこしいですが、参考までに書いておきます。

Day1(1日目)に勉強して100%の記憶率となっています。Day2(2日目)に記憶率が急激に低下し始めますが、10分の復習により100%の記憶率に戻っていることを黄色の曲線で表しています。Day7(7日目)では5分の復習により100%の記憶率に戻っています。Day30(30日目)では2分~4分の復習で100%の記憶率に戻っています。

要は、このグラフが表しているのは、

勉強した24時間後に復習をすると、記憶率は100%に戻るということです。

もちろん、復習の時間は短時間(低負荷)で済みます。

そして、ここで記憶の定着が図られ、忘れにくくなるのです。

さらに、7日後に復習をすると記憶率は100%に戻ります。

ここで特筆すべきは、7日後の復習時間は24時間後と比べて大幅に短縮されるということです。

翌日にした復習時間の半分の時間で記憶率は100%に戻るのです。

ほとんど負担を感じることなく復習を済ませられる上に、記憶率も100%を維持します。

そこから30日経過すると記憶率はやや低下するものの、維持されており、

7日後よりも、さらに短時間の復習時間で記憶率を100%に戻せるのです。

3.ぬり絵勉強法の考察

ここで以前記事にした「ぬり絵勉強法」と併せて考えてみると、いかにこの勉強方法が優れているか分かると思います。

15分1コマで集中力が最大限に発揮される時間を使う「ぬり絵勉強法」ですが、

この15分という時間は、

エビングハウスの忘却曲線のところで出てきた20分という時間内です。

先ほど例に出したのですが、

①通関業法の「通関士」について15分集中的に問題を解いた後で、

②関税法等の「保税蔵置場」について15分集中的に問題を解きます。

その後、

①通関業法の「通関士」について15分集中的に復習のために問題を解くと時間的な余裕ができてくるはずです。

そこで、

②関税法等の「保税蔵置場」について15分集中的に復習のために問題を解くと、またもや時間的な余裕ができてくるはずです。

上記の全ての1コマ1コマが20分という時間を越えません。

つまり、短時間かつ低負担で記憶の定着が図れるということです。

しかも15分という集中力が最大限に発揮される時間内にです。

非常に効率的だと言えます。

4.倍速録音学習

ここで、上記の時間的な余裕ができて余ってくる時間を利用してボイスレコーダーに復習した内容を吹き込んではいかがでしょうか?

録音した内容を倍速で聴くことは、単純に時間短縮になるという効果もあるのですが、

それを上回る効果もあると言われています。

東北大学の川島教授らの共同研究では、

正文と誤文に関する文章の問題を、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍の速さで聴かせて実験したところ、速聴時のほうが被験者の脳の前頭葉が活性化するという結果が出ています。

脳を活性化させて、記憶を定着させる以上の効果が見込めると以下の対談でも述べられています。

脳トレの川島隆太さんが実証データ「速音読で、脳の回転速度が速くなる」

別記事で書いたような倍速録音学習を用いると、復習時間がさらに短時間で終わる上に、場所を選ばずに復習ができます。

問題集の場合は問題ごと録音してしまえばいいと思います。

ただし、複数選択式の問題はややこしいので、

択一式の正解だけ録音するとか、解説をそのまま録音してしまうなり少し工夫すると良いと思います。

参考書ならば、そのまま録音しておけばよいだけです。

「6ヶ月以内」「5年」などの期限が入った条文を覚える際にもピンポイントで弱点部分を覚えるのに適しています。

録音したものを、翌日の通勤時間などに復習のために聴いてみると、

おそらく「遅い」と感じると思います。

・エビングハウスの忘却曲線で出てきた「節約率」と「負担」

・ウォータールー大学の研究の24時間後

・ぬり絵勉強法が提唱する集中できる15分という時間内

これらの3つが複合的に働くと、

節約率が大幅に上昇した状態で、

24時間後に、

集中力が最大限に発揮される時間内で、

復習をできるということになります。

そうなると録音した内容は「遅い」と感じるはずです。

「遅い」と感じるということは、負担が軽いということです。

仮に2倍速で聴けたとすると、15分で昨日の30分2コマの勉強の復習ができるということになります。

塗り絵勉強法の量を質を落とさずに2倍に増やすことができます。

このパターンで学習を継続して行けば、効率よく、短時間で負担なく記憶を定着させられることになります。

以下のような機材を使えば簡単です。

せっかくなら3倍速まで対応しているものをお勧めします。( 2倍速止まりのものが多いので、注意が必要です。)

興味のある方は、関連記事をご覧ください。

特に、以下のような悩みを抱えている方は実践してみると良いと思います。

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名前:スギモト 通関士試験(平成18年度)を6か月の勉強期間を経て短期合格しました。 通関士試験に短期で合格するための情報を集めてみました。 通関士試験合格を目指す方のお役に立てれば幸いです。