通関士試験に挑む社会人の不合格回避ルートについて考えてみました。
本来であれば、「合格のためのルート」とポジティブに書きたいところですが、
特に、通勤や仕事で勉強時間確保の難しい社会人が「リスクを覚悟の上で受験する場合」に焦点を当てて考えてみました。
前回は不合格になる原因について山岳遭難を例に出しながら、査定してみました。
今回は、最優先して対策すべき原因について見ていきます。
目次
1.現在位置不詳で起こる遭難(=不合格)
2.現在位置の把握方法
2.1.①過去問や模試による実力
2.2.②問題集の「必出・基本レベル」が解けるか
1.現在位置不詳で起こる遭難(=不合格)
遭難(=不合格)の原因で最優先して対策すべきなのは、
前回説明した通り「道迷い」です。
これは試験でも同じことが言えると私は思います。
自分の現在位置が把握できないということは、自分の実力が合格レベル圏内からどのぐらい離れているか分からないということになります。
それが分からなければ、具体的に何をしてよいか分からないのが普通だと思います。
やみくもに何か始めても、それが正しいことをしているか分からないまま進むことになります。
あまり気にしない性格の方はそれでも進められるのかもしれませんが、心配性の方は不安が先行して、何もできなくなるのではないでしょうか?
私は後者の方が危機管理ができていると思います。闇雲に動くことで消耗しきってしまうよりは、動かないで冷静に考える方が上策だと思います。
仕事の場合、計画もなく闇雲にすすめることを許す上司がいるでしょうか?
納期は決まっているのに、進捗状況を聞いても部下が答えられないなどということがあっていいはずがありません。
もし何らかの理由で、通関士試験合格をあなたが切望されていて、上司から勉強の進捗状況を確認されたら何と答えますか?
今、あなたは、
納期=試験当日と考えて、勉強の進捗状況を上司に報告できますか?
このようなことを考えてみると、
自分が目的地を基準にしてどの位置にいるのかを把握して、あとどのぐらいで到着するのかを確認することは最優先課題です。
では、どのようにしてその現在位置を把握すればよいのでしょうか?次の項で考えていきます。
2.現在位置の把握方法
『現時点で「合格」までどのぐらいの距離があるか』という自分の現在位置をどのように把握すればよいのでしょうか?
テキストをどこまで読み進めたかとか、問題集をどのぐらい解いたかでは判断することは難しいでしょう。
もし、現在位置を確認したければ、
今すぐにでも過去問を解いたり、模試を解いてみて、合格ラインに達しているか判断してみてください。
合格ラインに達している場合は、
取りこぼしのないように「頻出・基本レベル」の問題で解けないものがないか最終確認に入って良いと思います。
もし、合格ラインに達していない場合は、
問題集より「頻出・基本レベル」を最優先で洗い出して覚えていくようにすれば良いと思います。
つまり、現在位置を把握する上で最も重要な指針が、
①過去問や模試によって実力を知る
②問題集の「頻出・基本レベル」が解けるか
となります。
①過去問や模試によって実力を知る
過去問や模試を解いてみて実力を知る。
受験勉強を3ヶ月~4ヶ月継続した方にとっては短時間で現在位置を知るよい方法です。
あたり前のことかもしれませんが、受験勉強を開始した直後の方にとってはあまり意味を持ちません。
今から6割の合格ラインに乗せようとするのですから、取れなくても当たり前です。
そして、過去問や模試の採点結果で重要なのは「頻出・基本レベル」をどれだけ取れているか、落としているかです。
逆に言うと、合格ラインに達していても「対策不要の奇問・難問」が取れているが、「頻出・基本レベル」があまり取れていない場合は、非常に危うい状況と言った方がいいですね。
一般的な登山ルートを横目に、越える必要のない断崖絶壁を越え、藪の中を突き進んでいる異様な光景と考えてよいでしょう。
それで短期合格できる人は、記憶力と応用能力がずば抜けて高いか、強い勘の持ち主かのどちらかだと思います。
先ほども述べましたが、一番重要なのは、本試験までに「頻出・基本レベル」だけで合格ラインに辿り着けるかどうかです。
少し話はそれますが、
「過去問や模試ができていなくても悲観することはない」
「難しく作ってあるのだから、あまり気にしないように」
という慰めの言葉を受け取って、何事もなかったかのように平常心でいられるというのは「正常性バイアス」が働いているとでもいうべき、危険なメンタル状態だと思います。
模擬試験や過去問を本気で解いて、出来ていなければ普通なら心が折れるはずです。
過去問はそのまま本試験です。模試も本試験を模して作ってある模擬本試験です。
この結果が合格ラインに達していなかったことを悲観せずして、いつ悲観する時があるというのでしょうか?
失敗した後で、どのように対処するかが重要です。
模試や過去問で6割取れていなければ、
とにかく、「頻出・基本レベル」を落とさないように、ケアレスミスに注意して諦めずに最短ルートに復帰できるようにしましょう。
とにかく、一番重要なのは「頻出・基本レベル」だけで合格ラインに到達しているか否かです。
ということで、この過去問や模試では「だいたいの位置」しか掴めません。
なぜなら、奇問や難問が織り込まれているからです。
気合を入れさせる目的があるのか、よく分かりませんが、難問を解かせる傾向のある模試もあります。
このようなことから、正確な現在位置を知るには次の方法しかありません。
②問題集の「必出・基本レベル」が解けるか
私が思うに、現在位置を把握するのに最も重要なのは、これです。
進捗状況は『問題集の「頻出・基本レベル」が解けるか』を調べて、
解けない問題数が分かれば、算出できます。
「何から手をつけたらよいか分からない」
「何をいつまでに、どのぐらいやればよいか分からない」
という方は、
問題集というツールを使って、出来るだけ早く現在位置の割り出しを行い、進捗状況を把握しましょう。
さて、この現在位置を割り出すツールとしての問題集の機能が悪ければ、正確な位置を知ることはできないでしょう。
スマートフォンの地図機能を使おうとして現在地を見てみると、自分がいる位置とはまったく違った場所が示されているなどと言うことがあれば、修理または交換が必要でしょう。
問題集は、
「頻出・基本レベル」か「対策不要・難問レベル」かどうかを分類できていなければ、地図機能(GPS機能)が壊れたスマートフォンを持っているようなものです。
このようなことから、独学では特に多いことですが、問題集の選択に失敗すれば、大きな問題が生じることがあります。
しかも、困ったことに、GPS機能が壊れているかどうかということは気づきにくいものです。
例えば、
東京駅でも「丸の内北口」と「八重洲北口」では全然場所が違います。
ただ、同じ東京駅で改札の名前も違うので、間違っていると気づけば、急いで改札を抜けるか、連絡通路を抜ければ約束の時間には間に合うかもしれません。
ただ、これが神戸の「京橋」か、大阪の「京橋」かという違いになると、
神戸税関に行こうとしてGPSのナビ通りに行くと大阪城が目の前にあるということになるでしょう。
当初は自分は約束した「京橋」に間違いなくいると思うはずです。
ここまでの壊れ方をされると、登ったことのない山の場合は取り返しのつかないことになるでしょう。
しかも、盲目的に信じている場合は、最悪の事態に陥った時に、やっと気づく場合が多いかもしれません。
次回は、その現在地点を把握するために重要なツールである「問題集」について考えてみます。
ちなみに、記事を書く際に、参考にさせていただいたプロの動画です。
一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
山で遭難する理由 BC穂高(大田毅彦さん)