ケアレスミスが原因で不合格になってしまうと言う方が多いのが、通関士試験の特徴でもあると思います。
ケアレスミスが最も多い科目は、やはり「通関実務」ではないでしょうか?
今回は「通関実務」に関するケアレスミス対策について書いてみました。
目次
1.ケアレスミスの要因
2.品目分類でのミス
3.余計な読解を省略する方法
4.まとめ
1.ケアレスミスの要因
通関士試験のケアレスミスの要因となるものには、以下のようなものを挙げることができます。
・計算ミス
・読解ミス
「通関業法」と「関税法等」の法律科目では「読解ミス」がメインとなると思います。
通関士試験特有の法律用語が出てくることを踏まえて上で、国語や社会の試験と同じように、しっかりと文章を読み込み、見直しをすればケアレスミスは減らせます。
ただし、「通関実務」でのケアレスミスが起こる要因は「読解ミス」に加えて、「計算ミス」が加わります。
「数学」に良く似ているように思いますが、数学よりも特殊で複雑だと言えます。
仕入書(インボイス)や関税率表、実勢外国為替相場の週間平均値
(1米ドルに対する円相場)などの複数の書類に目を通しながら、
英語や貿易実務用語、法律用語が混じった文章を読解しつつ、
電卓で計算する必要があるからです。
2.品目分類でのミス
複雑な読解・計算が複合している通関実務の問題ですが、
時間内に解くためには、問題慣れする必要があります。
しかし、いくら問題慣れしていても、仕入書の品目や関税率表の内容が複雑であれば、品目分類で時間がかかったり、分類ミスをすることがあります。
そして、間違っていると気づいた時には、かなりの時間をロスしています。
試験中に「間違っている」と気づく場合があるというのは、「申告事項登録画面」を見れば分かりますが、解答欄が5欄しかないからです。
5欄しかないので、自分がした品目分類が誤っている場合は、期せずして試験中に分かる場合があるのです。
試験中に自分のミスに気づくことはラッキーなことかもしれません。
しかし、そこから再度、品目分類をやり直していると、時間が足りなくなって、解答率の高い問題を取りこぼしたり、見直しする時間がなくなってケアレスミスの要因を作ることになるかもしれません。
そのためには、余計な読解を極力省略する必要が出てきます。
3.余計な読解を省略する方法
試験形式が変更にならなければの話ですが、解答欄を埋める統計品目番号の選択肢が以下のように並んでいると思います(2019年現在)。
以下は、通関士ポータル:第52回・通関書類の作成要領(問題)より引用いたしました。
① 611120300X | ② 6111301501 | ③ 6111901003 |
④ 6116910155 | ⑤ 611710100X | ⑥ 611710900X |
⑦ 6117802902 | ⑧ 6202132005 | ⑨ 6207220003 |
⑩ 6207290003 | ⑪ 6208220001 | ⑫ 6208290001 |
⑬ 6210302000 | ⑭ 6213200000 | ⑮ 630790010X |
問題に取り組む前に、これらの選択肢に関して、全て関税率表に番号を付けておきます。
例えば、以下のようにラインを引いても良いと思います。
このようにすることで、目を通すべき部分が15項目までに絞り込むことができます。
見直しする時も、この15項目の部分だけをチェックすれば良いので、効率的です。
仮に、間違えていることに気づいた場合でも、かなり効率的に解き直すことができます。
ケアレスミス対策と言うよりは、通関実務における正攻法と言っても良いかもしれません。
与えられた全てのデータを分析して、正解を導き出すための定石と言っても過言ではないでしょう。
ただし、間違えてラインを引いたり、間違った箇所に番号を記入してしまうと、そのミス自体が原因で失点につながりかねません。
「私、失敗しないので!」と言う方にとっては、15箇所に番号を記入することは時間のロスでしかないということも付け足しておきます。
その点に関しては十分にご注意ください。
なお、この方法を使う際には、間違えて記入しても良いように、フリクションペンを使うことをおすすめします。
マーカータイプのフリクションペンはおすすめできません。そのことに関しては、以下の記事に書いております。
通関士試験直前の独学短期合格への準備(2)絶対必要!装備7選
4.まとめ
通関実務の問題は、複数の書類に目を通しながら、英語や貿易実務用語、法律用語が混じった文章を読解しつつ、電卓で計算する必要があります。
品目分類に関しても類注などの存在もあり、慣れていても非常に複雑であり、ひとたび間違えてしまうと、時間的に取り返しがつきにくい状況に陥ります。
そういった状況を打破するために、この方法を使ってみてください。
ただし、上述の通り「15項目を関税率表でチェックして、番号を書く」という行為自体が時間的なロスに繋がり、ミスを招く可能性もあることを念頭に置いて、まずは過去問や模試で試してみてください。
なお、試験形式が変更になった場合は、使えなくなる可能性もある方法であることを付け加えておきたいと思います。
余談になりますが、医療業界では、「人は誰でも間違える」ことを前提に、ルール作り、マニュアル作り、ミスをしないための研修、具体的な措置などをチーム全体で取り組むようにしているそうです。
ケアレスミスを防ぐための策をチームで情報共有するのです。
通関士試験において、そうした情報共有の一助になればと思います。
ちなみに、医療器具に関しては「ミスが起こりにくい器具を選択する」ということが重要だそうです。
電卓選びも重要です。
問題をこなす上で相当叩いていると思うので、本試験までに壊れないぐらいの耐用性のあるきちんとした電卓を選びましょう。
(↓こういう大きなタイプが使いやすくていいですね。「00」がついていて、クリアも左下で押しやすいタイプですね。価格は2,000円弱です。)
なお、他のケアレスミス対策は、こちらの記事にまとめています。