通関士試験の独学短期一発合格する上で知らなくていい2つの科目免除(科目免除の概要)

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通関士資格の科目免除について、どのようなものか知りたい方はご覧ください。

ただし、これから通関士試験を受験される方で「5年以内を目途に合格を目指す方」や「今後通関業務と関わりがない方」には必要のない知識と思われます。

貿易関係は、仕事量の変動が多く一定せず、残業が当たり前の毎日の会社が多いのではないでしょうか。そんな中で、受験勉強が捗らない時に「福音」として聞かされることの多い「科目免除」について書いてみようと思います。

ただし、科目免除申請をしようと思っておられる方で、ここになぜかたどりついてしまったという方は以下の税関ホームページにて要件と申請書をご覧ください。

税関ホームページ 通関士試験科目の一部免除

目次

通関士試験の科目免除について
科目免除の要件
1科目免除
2科目免除
免除の対象となる科目
科目免除と合格率
おわりに

通関士試験の科目免除について

通関士という国家資格の試験には、科目免除というものがあります。

通関士試験の科目は全部で3科目ありますが、ある要件を満たすと、最大で2科目が免除となります。以下の税関のホームページにも載っていますので、一応リンクを貼っておきます。ただし、法律は毎年改正や廃止になっていないか確認するようお願いします。

税関ホームページ 通関士試験科目の一部免除

科目免除の要件

科目免除に必要な要件とは実務経験年数のことです。

この実務経験とは、簡単に言うと官庁職員(財務省職員や税関職員)や通関業者として働いて「通関に関する事務」をすることを指しています。

ここでいう「通関」とは、簡単に言うと輸出入に関する貨物の点検や書類を作成したりする仕事のことです。

ただし、関税法などの法律的な知識なしで、パソコン入力や書類の配送、荷物点検といった事務作業をすることは、「通関に関する事務」には含めないこととなっています。

では、実際には「通関に関する事務」の経験を積むにはどうしたらよいのでしょうか。それには、まず「通関従業者研修」というものを受けて、関税法などを勉強した後で税関に認めてもらった上で通関の仕事をする必要があります。

この資格試験の科目免除はたいていの国家資格と違い、実務経験があるだけで最も難しい科目を免除してもらえるという珍しいものです。

1科目免除

上記の実務経験が5年あれば1科目が免除となります。

そして、免除される1科目は「通関実務」です。

残りの「関税法等」と「通関業法」の2科目だけを受験すればよいことになり、かなり楽に受験できるようになります。なぜかは後述します。

2科目免除

さらに、実務経験が15年になると、2科目が免除となります。

残りは「通関業法」という科目だけを受験すればよいことになり、ほぼ7割程度の方が合格できるようになります。

免除の対象となる科目

1科目免除で初めに免除される「通関実務」という科目は、受験者に忌み嫌われる「鬼門」となっています。

非常に高度な予備知識と思考能力を求められる難問・奇問が出題されており、実務問題にもかかわらず、実務経験者が落としてしまう科目として知られています。

ただ、そういった難問・奇問以外の問題を確実に取れれば、合格ラインまで到達できる科目とも言えます。

しかし、難問・奇問以外は絶対に落とせないことから、初歩的な引っかけ問題や計算ミスでつまずくと不合格の原因となる科目とも言えるので「鬼門」なのです。過去問や模試で多くの問題に当たっておく必要がある科目となります。

以上のようなことから、1科目免除で「通関実務」が免除になるとすれば、心理的な負担と勉強にかかる時間を大幅に減らせます。

さらに、2科目免除の場合だと、残る試験科目は「通関業法」のみとなります。

この「通関業法」という科目は、他の科目と比較して圧倒的にボリュームが少なく、とにかく暗記してしまえる量です。効率の良い暗記法を知っていれば短期間で6割は確実に取れると思います。参考書や問題集を見たことがある方は理解できると思います。

科目免除と合格率

ここで、科目免除者とそうでない者の合格率はどのようになっているのか見てみましょう。ここでは、平成30年度(2018年度)のデータを参考にしてみたいと思います。

なお、令和元年(2019年度)から、今までは発表していなかった、科目免除に関する詳細なデータを税関が発表するように変更がありました。変革の時期にさしかかりつつあるのかもしれません。科目免除と難易度(合格率)に関しての考察は以下の記事をご覧ください。

上述の通り、最新の令和元年度(2019年度)の科目免状に関する詳細なデータは以下の税関のホームページより簡単に確認できるように変更になりました。

第53回通関士試験の結果について

平成30年度は6,218名が受験して905名の方が合格されましたが、その内訳は以下のようになります。

1科目免除の受験者数は607名で、合格者数は135名。合格率は22.2%です。

2科目免除の受験者数は130名で、合格者数は88名。合格率67.7%です。

全3科目受験者数は5,481名で合格者数は682名。合格率は12.4%となります。

おわりに

上記の科目免除や合格率などについてどのように考えられたでしょうか。

合格率が低く、難易度の高い試験だと実感しましたか?

もし合格できなくても実務経験を5年積めば「通関実務」の勉強をしなくていいと知って肩の荷が下りましたか?

実務経験を15年積めば、「通関実務」に加えて「関税法等」の勉強もする必要がないと分かって楽になれましたか?

もし、そんな風に考えておられるなら、それは分析不足です。以下の記事をご覧ください。

「実務経験を積めば科目免除があるから、通関業法の勉強だけしていればいい」

私は、この思考回路こそが勉強しなくなってしまう原因であり、合格率が極端に低く、難易度が高いと言われている要因だと思っています。

いずれにせよ短期合格を目指す方にとっては必要のない情報です。

余計な情報は頭の外に置いて、効率の良い、正しい学習方法を身につけて短期合格目指してがんばりましょう!

以下、ご参考になればと思いますので、ご覧ください。

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名前:スギモト 通関士試験(平成18年度)を6か月の勉強期間を経て短期合格しました。 通関士試験に短期で合格するための情報を集めてみました。 通関士試験合格を目指す方のお役に立てれば幸いです。