通関士試験を受ける上で、法律用語について知っておくと、テキストを読む際にストレスが減るように感じると思います。
「法律用語を理解して条文やテキスト、問題集を読み解けば、勉強も捗る」
そのように思って法律用語を学習しようとしている人は、通関士試験では、どこまでの知識が必要なのか判断してから知識を深めるようにした方が良いと思います。
法律用語を理解したから問題が解けるようになると安易に考えるのは危険です。
例外もあって失点の原因となることがあることも知っておく必要があると思います。
法律用語をそれほど詳しく説明したテキストは探しても見つけることが難しいと思います。
それには、それなりの理由があるということです。
法律用語を理解して、公式として使おうとすると、落とし穴があることも知っておく必要があります。
この点に関して先に知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
今回は、第1回目として、簡単で知っておいても害はないと思われる。
「法」と「法律」と「法令」について書いてみたいと思います。
どれも読み流す程度で良い内容です。逆に覚えようとして時間をかけないでください。
目次
1.法、法律、法令とは?
まずは、そもそも法律とは何かについて、簡単に書いてみます。
「法」「法律」「法令」はそれぞれ違うものなのでしょうか?
簡単に、以下のように分類できます。
法とは
通関士試験では「許可」という言葉をテキストや問題でよく目にすると思います。
「許可」は「禁止されている状態を解除すること」です。
「禁止」はどのようなものかというと、
「~してはならない」といったことを指図されることです。
こういった一定の守るべきことを指図されることを「規範」といいます。
つまり
「やって良いことと、悪いことの基準」
「善悪の判断基準」
が「規範」であるとも言えます。
例えば、以下のような指図(規範)があるので、
外国貨物は原則として保税地域以外に置くことができません。
関税法第三十条 外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。
関税法(施行日:令和元年7月1日)
ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。 (以下、省略)
この指図(規範)があるので、
「外国貨物を勝手に保税地域の外に持ち出したりはしない」という行為を選択・決定できます。
これによって、密輸や脱税という行為をする選択・決定をしにくくしていると言えます。
この規範がなければ、日本は無法地帯となることは言うまでもありません。
刑法199条の「人を殺した者は、死刑または(中略)懲役に処する」という規定があることで、
「人を殺すな」という命令・禁止になり、
「殺人はしない」という行為を選択・決定することができるようにしているのと同じです。
このような、
命令・禁止などの形をとり、
人間が社会生活を送る上で守るべき行為を選択・決定していく基準となるものが、「行為規範」と呼ばれています。
この「行為規範」が一般的に「法」と呼ばれているものです。
厳密には、この行為規範に裁判規範と組織規範というものを加えたものが「法」と呼ばれています。
行為規範は裁判の時には、裁判で判決を下す上での基準(規範)ともなるので、裁判規範というような捉え方もします。
組織規範というものは、行動規範でも裁判規範でもない、組織について定めたものを指します。
憲法66条1項で「内閣は、(中略)内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」がその例です。
法律とは
そして、「法律」とは、広い意味では「法」全般を指しますが、狭い意味では、議会(国会)が定めた「行為規範」のことを指します。
民法、刑法、商法等がその例です。
命令とは
また、国の行政機関が制定する「行為規範」は「命令」と言われています。
「政令」「省令」「条例」など様々な種類があります。
法令とは
上述の「法律」と「命令」を合わせたものの総称が「法令」と呼ばれています。
2.まとめ
通関士試験に出てくる法律用語のほとんどは、ネットや国語辞典で大まかな意味を調べることができます。
一般的に用いられる意味と異なる場合は、
(法律)
とか
(法)
と言う区分をつけて載っていることが多いと思います。
通関士試験のテキストでは、法律用語に関する説明はほとんど載っていないことが多いと思います。
記事に目を通して、理解ができて納得できれば、法律の書籍をわざわざ読んで勉強するよりも、問題を1問でも多く解く方が得点につながると思います。
他の記事でも書いていますが、
法律的な知識は知っていると条文を読みやすくなると思いますが、例外もあるので、混乱をきたす可能性もあります。
時間がない場合は、法律用語に関しては、あまり深入りせずに、読み流す程度に留めて、問題を解いていくことをおすすめします。
次回は「公布」と「施行」について書いてみます。
3.参考文献
「みんなが欲しかった!法学の基礎がわかる本(執筆者:丸山和秀)」