通関士試験の独学短期一発合格に必要な法律知識について(7)承認・届出

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通関士試験を受ける上で、法律用語について知っておくと、テキストを読む際にストレスが減るように感じると思います。

「法律用語を理解して条文やテキスト、問題集を読み解けば、勉強も捗る」

そのように思って法律用語を学習しようとしている人は、通関士試験では、どこまでの知識が必要なのか判断してから知識を深めるようにした方が良いと思います。

法律用語を理解したから問題が解けるようになると考えるのは危険です。

前回記事を読まれた方は分かると思いますが、こういった知識は混乱を招く種になる可能性もあります。

公式として使おうとすると、落とし穴があることも知っておく必要があります。

今回は、第7回目(最終回)として、
「承認」と「届出」について簡単に書いてみようと思いますが、
行政法の「許可」「認可」「承認」といったことを勉強していく必要があるので、簡単な説明に留めようと思います。

覚えようとはせずに、軽く流し読みしてみてください。
通関士試験を受験するために、法律用語について深く理解しようとすることが、どのような意味を持つのか知るために読んでみてください。

目次

1.公式とはならない
2.承認
3.届出
4.本当に必要なのか?
5.まとめ
6.参考文献

1.公式とはならない

法律用語を理解すると、条文が読みやすく感じるかもしれません。

ただし、

「この場合は許可だろう」とか、「こういう場合は承認に違いない」などと判断して回答すると痛い目に遭う場合があることは前回記事でお伝えした通りです。

法律用語を勉強して、納得はできても、その知識は残念ながら問題を解く上での「公式」とはならないということです。

通関士試験対策における法律用語の対処方法は明確です。

「問題を多く解いて、きっちりと記憶すべきところは記憶するということ」です。

法律用語について、中途半端に知っていると、逆にケアレスミスの原因になる可能性があります。

前回の「許可」もそうですが、「承認」や「届出」についての意味を知りたいという方は多いと思います。

現時点で、通関士試験を合格するために「承認」や「届出」について深く理解する必要があるかどうかは、以下の内容を吟味して、ご自分で判断していただければと思います。

2.承認

一般的に「承認」というと、

「その事柄が正当だと認めること」

「もっともだと認めること」

といった意味を持ちます。

法律用語としての意味は、

「一定の行為又は事実の存在を、許諾または肯定すること」

となります。

「許可」とは違って「禁止されている状態」を解除するといった意味ではありません。

例えば、

経済産業大臣が
輸入貿易管理令に関わる「輸入の承認をする」と言った時に

「承認」が出てきます。

この承認は「その行為は法律的に有効です」という行政法上の「認可」的な意味があるということです。

「貿易管理令という法律的に有効です」というような意味になります。

別の例を挙げると、「輸入許可前引取りの承認」がありますが、

これも「関税法に定めがあるので、法律的に有効です」という意味になります。

また、単に「それは、しても良いですよ」という行政の同意としての意味も持つ場合があります。

3.届出

一般的に「届出」とは、

「役所などに書類または口頭で申し出る」ことです。

法律用語としての意味は、

「届出」とは、放任状態では違法行為が行われる可能性があるため、ある行為を行うに当たって、監督官庁に事前(または事後)通知する義務を課したものです。

通関士試験では、「許可(または承認)」が必要なのか、それとも「届出」で足りるのか、といった質問が多い傾向にあります。

4.本当に必要なのか?

さて、冒頭で説明した通り簡単な説明に留めました。

「認可」についてはあまり説明しませんでしたが、理解できましたか?

「認可」とは、

「第三者の行為を補充して、その法律上の効力を完成させる行為」です。

「許可」が「命令的行為」であるのに対して、

「認可」は「形成的行為」です。

ここから「命令的行為」や「形成的行為」について説明することも可能ですが、興味がある方は自分で調べてみると良いと思います。

おそらく、通関士試験で得点する上では何の役にも立たない知識であると気づくはずです。

行政法を根本から理解する必要はないと思います。

それを確めるための近道は、

通関士試験のテキストを読んで、問題を解いてみることです。

知る必要がないと気づくはずです。

断っておきますが、

法律について学ぶことが無益であるとかそういうことを言っているのではありません。

通関士試験に合格するという目標がある場合に、必要がないと言っているだけです。

通関士試験の出題範囲に入っている法令について、

一言一句ていねいに根本から理解しようとすると、行政法に関しては、司法試験に合格できる基礎的な知識が備わっているかもしれません。

運転免許で考えると、タクシードライバーになる訳でもないのに、「二種免許」を取るための勉強をするようなものです。

5.まとめ

冒頭で書いた通り、法律用語を根本から理解してからテキストを読んだり問題を解いたりすることがいかに無益なことか理解していただけたと思います。

法律用語についてもやもやする部分があるからと言って、そこをクリアにしようとする必要はないと思いませんか?

そのもやもや部分は「的外れ」な領域であり、必要ないからテキストでも問題集でも、靄(もや)がかかったままなのだと思いませんか?

「許可」「承認」「届出」についてグーグルで検索すると上位に挙がるのが、以下の通関士関連のサイトです。

通関士スペシャリストによるこっそり裏講義「許可と承認の違い」

「説明不足」だと思いますか?

私は、的を得た解説だと思います。

納得のいくように、詳しく説明したところで、受験生に時間を取らせるだけで、何の益ももたらさないばかりか、むしろ混乱を来たす可能性があるために、このような限定的な書き方をしているのではないでしょうか?

冒頭でも述べた通り、法律知識が混乱を招く種になり、落とし穴ともなり得ることを理解してもらえたと思います。

今後は、法律用語については、「今は深く知る必要はない領域である」と見切って、無駄な質問や勉強の時間を省略できるでしょう。

さて、次回は貿易専門用語について書いてみました。

これも法律用語と同様に「通関士試験における貿易専門用語の知っておくべき範囲」が存在します。

6.参考文献

「よく分かる行政法の仕組み」     

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名前:スギモト 通関士試験(平成18年度)を6か月の勉強期間を経て短期合格しました。 通関士試験に短期で合格するための情報を集めてみました。 通関士試験合格を目指す方のお役に立てれば幸いです。