通関士試験を受ける上で、法律用語について知っておくと読解の際にストレスが減るように感じると思います。
ただし、法律用語を理解したから問題がすらすら解けるようになるようなことはありません。
この点に関しては、関連記事をご覧ください。
「通関士試験の独学短期合格に必要な法律知識について」
今回は、第4回目として、前回同様に「厳密な定義をもつ言いまわし」について簡単に書いてみようと思います。
今回も、前回同様に、覚えておいた方が良いと思われる知識です。
目次
1.「並びに」と「及び」
2.もう少し分かり易く
3.英文契約書の方が簡単
4.まとめ
5.参考文献
1.「並びに」と「及び」
2つ以上の要素を結びつけて併合する場合に使われる接続詞です。
難しい言葉では「併合的接続詞」と呼ばれます。
英語では「and」に当たる言葉です。
例えば、以下の条文で見てみましょう。(ちなみに試験頻出です)
通関業法第四条
通関業の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した許可申請書を財務大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその役員の氏名及び住所(以下省略)
出典:電子政府の総合窓口e-Gov「通関業法」
「氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその役員の氏名及び住所」
と書かれていますが、この部分を分解すると以下のようになります。
A:氏名又は名称及び住所
並びに
B:法人にあつてはその役員の氏名及び住所
つまり、AとBのように大別されることを、併合的につなぐ接続詞が「並びに」となります。
そして、
AとBのように大別され、併合的につながれたものの中に、さらに併合される要素が入っている場合、
「及び」という接続詞を用います。
2.もう少し分かり易く
上記の条文の内容は、以下のように大別されています。
A「氏名又は名称及び住所」
並びに
B「法人にあつてはその役員の氏名及び住所」
これをパソコンのフォルダに収納すると、以下のようなイメージになります。
「A並びにB」です。
ここで、Aのフォルダを開くと、さらに以下のようなフォルダが入っていたとします。
この場合は、「A1及びA2」というように、
「及び」を使って接続します。
上記の条文でのA1は「氏名又は名称」、A2は「住所」となります。
もう一度、簡単に説明してみます。
A:A1及びA2
並びに
B:B1及びB2
Aには「A1」と「A2」という小さな要素が入っています。
Bには「B1」と「B2」という小さな要素が入っています。
このように、「小さな要素」が収納されているような「大きな要素」がある場合、
「大きな要素」同士を併合的に接続するには「並びに」を用います。
このとき、「大きな要素」の中に入っている「小さな要素」を併合的に接続するには、「及び」を用います。
そして、大別されて併合的に接続されたものの中に、さらに併合的に接続される要素が入っているような場面を「段階がある」と言いますが、
この場合のみ「並びに」が登場します。
A:A1及びA2
並びに
B:B1及びB2
併合される要素に段階がない場合は、
以下のように「及び」のみを用いることとなっています。
A
及び
B
3.英文契約書の方が簡単
英文契約書の中では、以下のような形になります。
大きな要素が「,」で区切られているところがポイントです。
A and B, and C
A及びB、並びにC
A and B, and C, D and E
A及びB、並びにC、D及びE
(A・B)並びに(C・D・E)
4.まとめ
意外にも「and」は英語でもややこしいもののようです。
ただし、日本語よりは理解しやすいのではないでしょうか?
単語も「and」と「,」しか出てきません。
前回同様に言えることは、
「やはり、日本語は難しい」の一言ですね。
さて、次回は、「禁止」について書いてみます。
「許可」との絡みで読んでおくと良い知識です。
5.参考文献
「みんなが欲しかった!法学の基礎がわかる本」
「英文契約書の基礎知識」