通関士試験を受ける上で、法律用語について知っておくと、テキストを読む際にストレスが減るように感じると思います。
ただし、法律用語を理解したから問題が解けるようになると考えるのは危険です。
公式として使おうとすると、落とし穴があることも知っておく必要があります。
この点に関して先に知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
今回は、第3回目として、
「厳密な定義をもつ言いまわし」について簡単に書いてみようと思います。
今回は、覚えておいた方が良いと思われる知識です。
目次
1.「又は」と「若しくは」
2.例え
3.英文契約書の方が簡単
4.まとめ
5.参考文献
1.「又は」と「若しくは」
どちらかを選択する場合に使われる接続詞です。
難しい言葉では「選択的接続詞」と呼ばれます。
英語では「or」に当たる言葉です。
例えば、通関業者が法令等に違反した場合の「監督処分の種類」に関わる以下の条文で見てみましょう。(ちなみに、試験頻出です。)
通関業法第三十四条
出典:電子政府の総合窓口e-Gov「通関業法」
財務大臣は、(中略)その通関業者に対し、一年以内の期間を定めて通関業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は許可の取消しをすることができる。
「通関業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は許可の取消しをすることができる」
と書かれていますが、この部分を分解すると以下のようになります。
A:通関業務の停止(全部若しくは一部)
又は、
B:通関業の許可の取り消し
つまり、AとBを大別して「大きな選択されること」をつなぐ接続詞が「又は」となります。
さらに、Aの中の「小さな選択されること」をつなぐ接続詞が「若しくは」となります。
2.例え
財務大臣が、以下の処分決定をする時に、どちらを選択すべきか考えて、パソコンのフォルダを開こうとしている姿を思い浮かべてみてください。
A:通関業務の停止(全部若しくは一部)
又は、
B:通関業の許可の取り消し
処分の種類は、以下のように、2つのフォルダに大別されることになります。
さらに、Aの「通関業務の停止」のフォルダ内には、以下のように2つにフォルダが入っていることになります。
Aの「通関業務の停止」のフォルダを開くと、
「通関業務の停止の全部」若しくは「通関業務の停止の一部」
が入っている状態だと言うことです。
もう一度、簡単に説明してみます。
A「通関業務の停止」
又は、
B「通関業の許可の取り消し」
のような、
AとBを大別するような「大きな選択」がある場合は、
「又は」を用いると決まっています。
ここで、次の選択に進む段階がなければ「又は」を用いて終了となります。
しかし、
Aの「通関業務の停止」には、
「全部若しくは一部」という「小さな選択されること」がありました。
このように、Aをさらに分けるような「小さな選択」を行う段階がある場合は、
「若しくは」を用いると決まっています。
3.英文契約書の方が簡単
英文契約書の中では、以下のような形になります。
A1 or A2, or B
A1若しくはA2、又はB
4.まとめ
やはり、日本語は難しいの一言です。
ある外国の方が、
『日本人は、「日本語という難しい言語が使える」上に、「英語がある程度理解できる」という能力を持っていて優秀だと思う』と言っていたのを思い出しました。
日本語と、英語の知識を持っている上に、通関士の知識が入れば、
かなり価値ある人材と言えるのではないでしょうか。
「通関士国家試験合格」という証明を持てるということは大きなメリットがあると思います。
諦めずに、勉強を継続していきましょう。
次回は、『「並びに」と「及び」』について説明してみます。
5.参考文献
「みんなが欲しかった!法学の基礎がわかる本」
「英文契約書の基礎知識」