通関士試験に出てくる法律用語について書いています。
今回は、第5回目として、
「禁止」について簡単に書いてみようと思います。
例外が出てくるので、法律用語を深く掘り下げて理解したところで、公式としては使えないことが見えてくると思います。
覚えようとする必要はありません。まずは、軽く読み流してみることをおすすめします。
次回の記事で説明する「許可」の内容を理解する上では重要です。
目次
この記事で「禁止」を説明する際に以下の条文を引用していますが、ここには「例外」が存在しています。
赤字部分は「例外」があることを示しています。
関税法第三十条 外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。
ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。(以下、省略)
他の記事でも書きましたが、法律用語の知識をつけることはテキストを読む際や、問題を解く際にストレスを感じにくくなると思いますが、その知識に頼りすぎると思わぬ落とし穴に落ちる可能性があります。
問題を多く解いて、きっちりと記憶するべきところは記憶するという姿勢が重要です。
1.禁止
「禁止」というと、
「~してはならない」といったことを指図されることです。
法律用語としての意味は、
「禁止」とは
「一定の行為をしないことを命ずる行為」
となります。
法律用語としての「禁止」の意味は、こういった少し難しい言い回しになっているのには理由があります。
その前に、まずは以下の条文を見てみてください。
関税法第三十条 外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。
関税法(施行日:令和元年7月1日)
ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。 (以下、省略)
外国貨物は原則として保税地域以外に置くことは禁止されています。
なぜ禁止されなければならないのでしょうか?
人間の活動は本来は自由であり、何かをするなと言われて禁止されるような状態ではありません。
自由に外国から貨物を持ち込んだりできるというのが本来の状態です。
そういった国家(行政)が一切関与していない状態を「自然の自由」と言います。
イメージとしては、何も制限されていないフラットな状態です。
しかし、そのような「自然の自由」な状態のままにしておくと、いろいろ不都合が生じてきます。
例えば、武器や麻薬、有害物質などを自由に輸出入できる状態になります。
また、輸入税は日本の財源であるとともに、日本の国内産業を保護する目的で課されていますが、その徴収ができなくなる状態になるとも言えます。
後者の輸入税については自由貿易の観点から賛否両論あるかもしれませんが、
前者は「自然の自由」な状態にしておくと、非常に危険であり、混沌とした状況になることは想像できると思います。
例えば、拳銃や爆弾、化学兵器を大量に持ち込んで大規模なテロが起きたり、核廃棄物や産業廃棄物が日本国内に大量に持ち込まれたりするかもしれません。
つまり、人間本来の「自然の自由」な状態にしておくと、結果として国民生活に混乱をきたす無秩序な状態が生まれてしまいます。
そのようなことから、国家(行政)は「自然の自由」な状態に制限を設けている場合があります。
その制限のひとつが「禁止」です。
何も制限されない「フラットな状態(自然の自由)」から、上から圧力をかけて、
「マイナスな状態(不利益な状態)」にしていると言えます。
上述の法律用語としての「禁止」の意味が、少し難しい言い回しになっているのにはこういった理由があるからです。
2.まとめ
もう一度、以下の、法律用語としての禁止の意味を見てみましょう。
「禁止」とは「一定の行為をしないことを命ずる行為」です。
なぜ「禁止」が必要なのかと言うと、
「無秩序な状態」にならないように、国家(行政)が「一定の行為をしないことを命ずる行為(禁止)」をして、敢えて「マイナスな状態(不利益な状態)」にする必要があるからです。
このことを踏まえて次回の「許可」について考えると理解できると思います。
法律用語の意味を知ってストレスなく問題文が読めても、意味を知っているが故のケアレスミスが起こる可能性を常に頭の片隅に置いて取り組む必要があります。
そのことについて、次回の記事を読めば良く理解できると思います。
3.参考文献
参考文献:「みんなが欲しかった!法学の基礎がわかる本」
:「よく分かる行政法の仕組み」