通関士試験に挑む社会人の不合格回避ルートについて考えてみました。
本来であれば、「合格のためのルート」とポジティブに書きたいところですが、
特に、通勤や仕事で勉強時間確保の難しい社会人が「リスクを覚悟の上で受験する場合」に焦点を当てて考えてみました。
前回は不合格になる原因で最優先して対策すべき「道迷い」についての対策を考えてみました。対策として「現在位置」を知る方法をいくつかご紹介しましたが、今回はその方法についてより、詳しく見ていきます。
目次
1.現在地把握には問題集
2.最短ルートの検索
3.進捗状況の把握
4.超最短ルートの検索
5.問題集選択の失敗は不合格に直結
6.まとめ
1.現在地把握には問題集
前回の内容を振り返りながら、問題集の重要性を確認します。
遭難の原因で最も多く、最優先して対策すべきなのは「道迷い」です。
この道迷いの原因は「現在位置」が把握できないことです。
通関士試験も同様に考えると、
自分の現在位置が把握できないということは、自分の実力が合格レベル圏内からどのぐらい離れているか分からないということになります。
「現在位置」が掴めなければ、合格するためにどのような試験対策をしていけばよいか分からなくなります。
山なら遭難、試験では不合格が確定する状況でしょう。
自分が目的地を基準にしてどの位置にいるのかを把握して、あとどのぐらいで到着するのかを確認することは最優先課題です。
現在位置を把握する上で最も重要な指針が、
①過去問や模試によって実力を知る
②問題集の「頻出・基本レベル」が解けるか
となります。
①はおおよその位置を把握することは出来ますが、より正確に把握する上では、
『②問題集の「頻出・基本レベル」が解けるか』を確認する必要があります。
それには問題集というツールが絶対不可欠です。
進捗状況は『②問題集の「頻出・基本レベル」が解けるか』を調べて、
解けない問題数が分かれば、算出できます。
問題集は「頻出・基本レベル」か「対策不要・難問レベル」かどうかを分類できなければ役に立ちません。
こういった考えを今まで意識しないで受験対策をされていなかった方は今すぐに問題集が役に立つものかどうか確認してください。
社会人で短期合格を目指すなら、上記の方法で現在位置を割り出し、進捗状況を把握して最短ルートを検索するしかありません。
2.最短ルートの検索
役に立つ問題集があれば、最短ルートの検索を行えます。
時間がありあまっている方は、
最短ルートの割り出しなどせず、遭難(不合格)と隣合わせの修行を続けるのもありかもしれません。
以下、最短ルートを検索する方法です。
問題集の全ての問題について、
「頻出・基本レベル」と「対策不要・難問レベル」の選別をまず行い、
次に、「頻出・基本レベル」だけをピックアップします。
この「頻出・基本レベル」の問題群が最短ルートとして浮かび上がって検索は完了します。
それが全部解けるようになれば、最短ルートでの合格がほぼ確定したといえるでしょう。
マークをしてどれを攻略したかは確実に分かるようにしましょう。
3.進捗状況の把握
次に最短ルートでの進捗状況を把握しましょう。
進捗状況を把握するには、本試験当日までにどのぐらいの時間を勉強に割けるか計算し、時間を問題数で割れば、1問あたりどのぐらいの時間をかけてもよいのか、だいたいの目安時間が分かります。
そして、
あなたにとって1問を理解して解く時間が、目安時間をオーバーしていれば調整をしなければならないということも分かると思います。
ただ、勉強時間の配分を多くすればよいことかもしれませんが、なかなかそう上手く事は進まないと思います。
そんな状況を、解決する方法として、
具体的には、以下のような調整が考えられます。
・隙間時間を有効活用できる方法を見つける
・効率化・省略できる時間を見つける
・さらなる最短ルートがないか検索する(超最短ルートの検索)
4.超最短ルートの検索
時間が不足しているという人は、さらなる最短ルート(超最短ルート)がないかどうか検索するという手もあります。
これだけでも不合格の確立を大幅に下げて、もしかすると合格できるチャンスが出てくるかもしれません。
失敗しても確実な得点源として来年に向けた遺産として残る知識が短期間で身につくでしょう。
ただし、超最短ルートを使うということは、取りこぼしがあれば不合格に直結する直登ルートのようなものです。
これは、ある種の奇策と言えます。
逆に勉強時間に余裕のある方は、この「超最短ルート」での勉強を実践してみてから最短ルートを攻略すると絶対に落とせない問題がくっきりと見えて良いかも知れません。
こういった「超最短ルート」を検索する方法は以下のような方法があります。
「頻出・基本レベル」の中でも頻度が分かれている時があります。
例えば、「Aランク」「Bランク」「Cランク」といった具合です。
このランクで高いものだけをさらに選別して解けるようにしていきます。
ただし、以下のような問題点があります。
- そもそも、そこまで詳細に分類されていない問題集だった場合は選別が不可能
- あまり範囲を絞りすぎると合格ラインを充分にカバーできない場合がある
このような問題点を踏まえて、
「超最短ルート」について時間をかけて検索するよりも
「最短ルート」を攻略する時間を調整して創出できるように努力しましょう。
そして一刻も早く「最短ルート」攻略にとりかかりましょう。
5.問題集選択の失敗は不合格に直結
最短ルートは安全ルートでもあります。登山の場合は整備された登山道といえるでしょう。
このルートが分からない問題集は危険です。
危険な問題集とはどのようなものかと言うと、
「頻出・基本レベル」と「対策不要・難問レベル」の選別がまったくされていないものです。
例えば、検索上位に挙がる有名な過去問を何十年分もアップロードしているサイトでは、まったく選別されていません。「無料ほど怖いものはない」の極みです。
また、選別されてランク分けされているが、難問が5問に1問ぐらいの割合で混ざる問題集もやめましょう。
「頻出・基本レベル」の問題にできるだけ多く当たっておく必要があるからです。
難問の類は0でもいいぐらいです。ちなみに合格した同僚が使っていた通信講座の教材は0でした。
私はランク分けをしている問題集を使っていましたが、難問にも目を通していました。
難問を解いて、その解説を読んで得られることも確かにあるでしょう。
しかし、断崖絶壁を越える必要はまったくありません。
登山では、
通常は断崖絶壁への直登は避けて、安全な巻き道(迂回路)を選択します。
つまり、基本的なルート選択をするということです。
なぜなら、危険性が高い上に、時間と体力を浪費するからです。
難問を解いて解説を読むと、達成感があるかもしれませんが、それだけです。
時間を浪費させるだけだと、切り捨てる覚悟も必要だと私は思います。
まずは、「頻出・基本レベル」を押さえて、合格レベルに達しておく必要があると思います。
最短・安全ルートがどんなものであるか、しっかり把握してから、十分な余裕があれば、わき道を分け入ってみることをおすすめします。
6.まとめ
正しい問題集選定ができて、「頻出・基本レベル」を把握できた後、それが解けるようになれば、不合格になる確率をかなり下げられると思います。
また、進捗状況も把握できるようになるため、何をいつまでにどのようにすればよいか掴めるようになると思います。
最短・安全ルートを確保し、現在位置を確かめてから、確実に合格に近づけるようにしましょう。
独学で書店にある参考書と問題集を揃える方は、上述してきた内容を参考に正しい選定ができるようにしっかりと選んでください。
GPS機能が壊れたような問題集は買わないようにしましょう。
正確な位置情報と最短・安全ルートが検索できる問題集を手に入れてください。
それをきっちり解いていくだけで、合格する可能性を飛躍的に上昇させ、不合格になる確率をかなり下げられるでしょう。
さて「○○でしょう」と気象予報士のような言い方になっていますが、絶対などということは言い切れないからです。
それは、いくら現在位置を把握して、最短・安全ルートが確保できても、他にも遭難事故(不合格)になる原因はあるからです。
次回に書く内容も実は最優先事項の双璧を担うとも言える内容です。セオリーとでも言うべき知っていないと落ちるレベルのことです。
それは以下の記事に書いています。
ちなみに、記事を書く際に、参考にさせていただいたプロの動画です。
一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
山で遭難する理由 BC穂高(大田毅彦さん)